2007年11月15日

アル犬のこと その2



前回の続きの前に、他の犬達も紹介します。

画像の左上をよーく見ると、実は3匹の黒いレトリバーが覗いています(笑)

一番後ろが親分の“鉄”、賢く従順ですが、喧嘩じゃ負け知らずの古株です。

その前左が鉄の奥さん“メグ”
おっとりしたマイペース派なんですが、
なかなか賢く昔から脱走癖があるそうです(笑)

その横が2匹の子供“ユキ”
愛想がよく頭が良いので、一番の人気者ですが、メグの血を受け継ぎ、いつも脱走を企てています。

画像には写っていませんが、もう一匹が弟の“小鉄”おとなしくて、オットリしてますが、鳥屋さんは「アイツは絶対何か企んでる。」と、一番目立つ所に繋がれてます(笑)


そして今日のトップ画像“ケイ”ちゃんです。


美しい容姿の彼女は、生まれて直ぐペットショップのウインドウケースの中に入れられ、外に出される事なく数ヵ月間育ちました。

その間、ずっと食事制限を受け“長い間”「生後3ヶ月」として売られていた経緯があります。

育ち盛りに食事制限を受け、満足に運動させてもらえなかった彼女は、今も足腰が弱く、
成犬になっても生理が無いばかりか、血液の病気も患っています。


人間の勝手な事情で“生い先短い身体”になってしまった彼女を見て、ぐっと熱いものが込み上げる僕に、
彼女は、いつも明るく尻尾を振り、散歩をオネダリします。


そんなケイちゃんとの逸話はまた別の機会に…


気になっているかたは、
アルの話の続きをドウゾ。



僕は去年ひどく腰を痛めて、鳥屋さんに治療してもらう事を頼んでいた。


鳥屋さんは言う。
「長い時間“痛めた所をカバー”してきた身体は、そうそう我々の手を入れさせてはくれない。」

「ゆっくりと“体を開く”ことから始めましょうか。」

鳥屋家に着くと、6匹のレトリバーが僕を迎い入れてくれた。

『犬はね、人間には量りしれないパワーを持ってるんですよ。』

『犬達からもパワーを貰って、早く良くなりましょうね。』

そう言った鳥屋さんの言葉を自分なりに解釈して、
僕は自然と犬達の世話をするようになった。


朝起きて身の回りの事をしたら、
ワークパンツに履き替え、犬達の糞を処理する。

なにせ6頭もいるから、まぁ一仕事だ。

だけど、これを行うと、
俄然彼らの対応が変わってくる。


それまでは、
「え?ナニナニ遊んでくれるの♪」
って態度だったのが、

「スイマセ〜ン。お手数掛けます〜」
と、恐縮した感じになる。

いや本当に。


それから犬小屋の修理や草刈りをし、散歩して、水をあげて、最後に餌をあげる。

気が付いたら、もう真っ暗です。

ホッと一息。
風呂に入って自分の夕食をとり、
しばらく休憩をとってから再び風呂に入って身体を温める。

そうしたら、僕のケアの順番が回ってきます。


そんな日が何日か続いた時、
鳥屋さんから
『アルの犬小屋を作って欲しい。』と頼まれた。

アルは、いつも退屈しのぎに犬小屋を破壊し、その度何度も叱られては、炎天下の中や台風の日にも、野ざらしのまま過ごしていた。

しかし、寒波の予報が当たりそうな今冬に野ざらしは、ちょっと可哀想だろうと。


かくして僕の犬小屋作りが始まった。


自慢じゃないが、子供の頃から“手先が器用”で通っている“建築出身”な僕にとって、犬小屋作りなんて朝飯前だ。


…と、思ったら思わぬ邪魔がっ…!!


アルだ。


鳥屋さんから
「不必要に甘い声を出したら、強く叱るように。」
と言われているので、

「アゥ・アゥ〜ン」

なんて声を出すと作業を止めて叱る。

すぐ「ごめんなさ〜い」となるのだが、振り返るともう尻尾を振っている。

作業を始めると、また鳴く。
鳴くので、また叱る。


『ああ!まったく作業が進まない!!』


無視していても、
ずっと「遊んでぇ〜」と鳴くのだが、あまり僕が叱らないでいると、
部屋から“中身がはいったペリエの瓶(!)”がアルに向けて飛んでくるので(笑

僕も真面目に叱る。


そーゆーやりとりが、2,3時間続くと、アルもようやく諦める。


…が、昼食などで間があくと、また『フリダシに戻る』になってしまうのだった。


とにかく、アルは叱られても殴られても、相手をしてもらう事が嬉しくてタマラナイ。


何度も何度も、僕に叱られ、投げられ、叩かれたとしても、
誰にも声を掛けられず、
誰にも相手をしてもらえない生活より、
“痛みを伴っても”一緒に遊んで欲しい…


「ここに来るまで、一体どんな日々を過ごしたんだよオマエは…」


また涙がでた。




数日掛かって完成した犬小屋は、僕と鳥屋さんの好みで“グレーカモフラージュ”に塗った。

冬に水性塗料で塗ったので、けっきょく僕が帰る日も乾燥中だった。


年が明けて、僕は新しい仕事に着いた。


ある日、鳥屋さんからメールが届いた。

「犬小屋設置から数週間、ようやくアルが小屋の中に入りましたー!!」


「アルが壊さないで“中に入った”犬小屋は、初めてだよー!!」

夜に電話した鳥屋さんは、興奮していた。

僕もちょっと嬉しかった。



そして今年


少し大きくなったアルは、“いつものように”カモ柄の犬小屋で寝そべっていた。

「アルの犬小屋が一年もつなんて、奇跡だよ!」

多少カジった跡は、愛されている証拠なんだと鳥屋さんは言う。


昨年、初めて散歩に出掛けた時は、道の端を“地を這うように”していたアルが、
今はキチンと僕の右斜め前を“主人のペース”に合わせて歩く事が出来る。


水も溢さず餌もキチンと平らげる。


けれど「遊んでぇ〜」と甘い声で鳴くのは相変わらずだ(笑)


変わったのは、鳥屋さんが叱ろうとカーテンをサッと開けると、
「ヤバい・ヤバい」
と犬小屋に逃げ込むようになった事かな(笑)



「最近、たくましくなったねぇ」
鳥屋夫人が言う。


「ようやく犬らしくなったからだよ。」
鳥屋さんの笑顔が溢れる。

それでも、
年ごろのケイちゃんからは相手にされない、アル


仔犬たちとジャレ合っても、
あっさり負ける、アル


猫のマフィンからも、“オマエは、我輩の下!”と思われてる、アル


最近は、近所の小学生とも遊べるようになった、アル

去年、僕が帰るのを悟り、
泣き続けた、アル


今年は、黙って見送ってくれた、アル


また何時か、必ず散歩に行こうと思った、オレ



『鳥屋さんに何かあったら(笑)、アルは僕が引き取りますよ!』


そう約束して、僕は佐賀大和を後にした。


少し大人になった、アルを見て。


おわり



この記事へのコメント
どもども!

このお話の読み始めに、後に飼育放棄するご家族が新築の家を買うくだりがありますよね。それを見たときにとある小説を思い出しました(ワンコとは直接関係ありませんが・・・)

宮部みゆきさんの『火車』って小説です。

これ、かなりコワいです(ご存じだったらスミマセン)。家族が崩壊していくところがリアルなんですね。そんな展開にならなかったんでとりあえずホッとしましたが、飼育放棄はまったくもってダメですね。そんな家族があるという事実が大変悲しいしコワイです。

ワンコと遊んだり、遊んでるのを見てるのってホント楽しいですよね。ばにばにさん家のジョイス君andラブちゃん、あるふぁーさん家の改君、お母様が連れてくる黒いワンコ、どれも何か良いチカラ(癒し?)を与えてくれます。

実家では雑種を3回飼いました。今はアパートのために飼えないんで、引っ越したら飼いたいなぁ(今はKSRを養ってるのか!?)。
Posted by オクムラ at 2007年11月17日 21:46
お!火車ですか!!
気になって注目していたんですが、すでに読まれていたとは素晴らしい。

(読んだのは船上か、新幹線の車中か?…と詮索しちゃいます(笑)


以前、ガンガンさんトコでも犬の話題になったとき、
『僕より先に“星”になってしまうのは、本当に悲しい。』

『だから、今はペットと暮らしたくない。』

と話していたんですが、鳥屋さんのように
『今、この地獄から俺が救わなければ、この犬は明日にでも“星”になるだろう。』
『ならば、生い先短くとも“一緒に居られる間だけ”幸せに暮らそう。共に生きよう。』

と、病気の犬と暮らしていますし、それが神様が与えてくれた“人を研く試練”であると解釈しています。

人間がペットの死を見たくないように、犬だって主人の死を見たくないはず。

そう信じ合える間柄で、友として暮らしていければ良いですね。


あぁ、また重いコメにっ(汗)
Posted by これから点滴@#44 at 2007年11月18日 08:34
レス遅れましたが・・・

あ~ とりあえず良い人に見つけてもらえて良かった!!

実際飼育放棄する飼い主は多いんですよね~、改と散歩していると良い飼い主さんばかりと触れ合えるので、忘れてしまいがちですが。

アル君のように救出されずに悲しい運命をたどる子達も多い。

最近の日本では自分の子供ですらきちんと養えないバカ親も増えている状況だから益々増えるのだろうか?

悲しすぎる。

人それぞれ理由はあるのだろうけれど、最低でも命を大事にする事くらいは忘れないで欲しいですね~。

あ~、イカンイカン、 重いコメになってしまいました。

ではでは。
Posted by あるふぁー at 2007年11月19日 16:38
ははは。
重いネタを書いてますから、どーしてもコメントも重くなりますよ。(^_^;)

アルにしろケイにしろ、名のある洋犬に、こーゆー話って多いですよね。

犬を飼う事は、オシャレの一つぢゃないって!


10年以上前は、
『トレンディドラマ』ブームの影響で、
シベリアンハスキーを飼い始め、《収拾がつかなくなって》野山に棄てる飼い主が社会現象になったころから、こーゆー話は絶えません。

犬好きには、聞くのも耐え難いですが、
今回はお付き合い感謝します。
Posted by 消灯後@#44 at 2007年11月19日 22:55