2007年11月14日

アル犬のこと

不本意ながら長い休暇になりましたので、
備忘録がわりに九州滞在期なんかも、ちょこちょこ加えてみたいと思います。


僕の九州滞在は、もちろん鳥屋さんに肩を治療してもらう事が目的だった訳ですが、
コウダさんやキノシタさん、ダイモン君といった、普段めったに会えない『親愛なる九州の男達』に会えるのも楽しみでした。

こんなチャンス(怪我)、めったに無いですからね(苦笑)

お陰で吉谷デンソーさんやチームの方々。
ブレインズオイルのヤマダさんといった、濃くて熱い人達とも新たに知り合いになれ、次回の楽しみが増えましたね。


そして忘れてならないのが、このラブラドール『アル』
(昨年のBlog参照)

コイツとの出会いは、
僕の犬好きを復活させてくれただけじゃなく、

出会い、向き合い、お付き合いするといった、人間関係の大切さ。暖かさ。

人は決して独りでは形成されない。
してはイケナイといった、人が人として暮らしていくのに大切な事を、家族の一員である“愛犬”にも大切なんだ!と感じさせてくれた出会いでした。


今日のテーマは、重く暗くちょっと泣けるので、コメント無しは可ですよぉ
アルは初め、別の名前で別の家で飼われていた。

新築の家

ずっとマンション暮らしだったその家族は、ペットを飼うのが夢だった。

父娘で訪れたペットショップに、アル(仮称)は『可愛いい仔犬』として存在していた。

女の子は直ぐに「この子にするぅ〜」と決めたそうだ。

新築の家に、新品の犬小屋。
そして可愛いラブラドール。

とってもお似合いな、幸せの構図。


愛くるしい姿。

可愛い鳴き声。

ちょこちょこ歩く姿は、家族に癒しをあたえた。

餌や水の世話さえも、楽しんでいたでしょう。


しかし、その幸せの情景は、そう長くは続かなかった。


ラブラドールはもともと中型犬。
3ヶ月もしたら、いわゆる“仔犬”ぢゃあなくなる。
小さな娘には引っ張る力が強すぎて、散歩が辛くなる。

両親は家のローンを払うため、クタクタになるまで働いていた。

祖母は無関心だった。

家に繋がれてる時間が増えた。


状況は直ぐに一変する。


臭い!


ガーデニングを趣味とする、その家の奥方と同居する御母上様が、花の香りが『犬の糞尿』の悪臭で台無しだと言うのだ。

と、同時に娘も服を汚されたと泣いていた。


かくしてアル(仮称)は、家と隣を隔てる裏の壁の間に移動された。


効果てきめん!


ニオイは横の下水路へと流れ、暫く糞尿を処理しなくとも気にならない。

餌や水は、ホームセンターに『自動餌やり機』なんて便利な物があるではないか!

この家に、再び平和が訪れた。


…が、それも長くは続かない。


鳴き声である。


家の裏手に追いやられ、娘にも飽きられたアル(仮称)は、寂しさのあまり朝から晩まで鳴き続けた。

例の犬が甘える時にだす
『クーン・クウゥ〜ン』
という声で。

さすがにアノ声で鳴かれると、飼い主も放っては置けない。
仕方ないので誰かが相手をすると、アル(仮称)はこれを覚えてドンドン鳴いた。

あまり鳴くのが続くと窓から叱るのだが、顔を見れるのが嬉しくて、今度は吠えた。

吠え続けた…

さすがに近所の人も嫌悪感を覚えたころ、近所のガキ供が棒で突っついたら、
アル(仮称)は怖くなって小屋に逃げ込んだ。


静かになった。


それから、ガキ供が棒で突っつく。という【イジメ】が黙認されるようになった。


しかし、ガキ供も24時間居る訳じゃあないので、アル(仮称)は餌を好きなだけ食べ、「誰か来てぇ!」と吠え続けた。


そしてまたイジメられて…

そんな状態が約1年も続いた時、ついに御母上様が不眠症を訴えだした。


厄介者


高い餌を喰い、臭い糞尿を撒き散らし、昼夜問わず鳴き叫ぶ。

もう、その家の誰もが『居なくなって欲しい。』と願うようになった。

何度も首輪を外し、何処か遠くへ行って欲しいと祈ったが、生まれながらに鎖に繋がれ、散歩の記憶が殆んど無いアル(仮称)は、イジメのせいもあり、家の敷地から出ようとはしなかった。

それなら山や河川敷にオイテケボリにしてしまえば…と考えるものだが、
『飼い切れなくなって、捨て親なったダメな飼い主』には成り下がりたくない彼らは、それもしなかった。


処分


大人達は、みな同じ事を考えていたのだろう。

『何処へ』『どんな手続きをしたら…』

そーゆー相談を持ち掛けられたと知り合いに聞かされた鳥屋さんは、一目散にその家へ行き、

『私が更正させます!』
『だから、その犬を殺さないで欲しい!』と頼んだ。


しかし返ってきた応えは、あまりに無情。


「治ってもねぇ…犬は、もうイイや。」


鳥屋さんの熱い訴えに反するように、その家にはシラケたムードが漂っていた。


『ならば私が引き取ります。』

「!」

それから話は早かった。



「バイバァ〜イ」


明るくも悲しい、娘の別れを“聞かされて”その家を後にした犬は、晴れて鳥屋家の一員となり、
“アル”と名付けられた。

そこから鳥屋さんとの【地獄のような更正期間】が始まった。


アルには、餌の有り難みや大切さが分からない。
(自動餌やり機のせいで…)
だから、いつも中途半端に食べては餌箱を引っくり返す。

鳥屋さんは、その一粒でも残さず食べないと、次の餌をやらなかった。

2日、3日、4日…
最後の一粒まで食べきるまで。
何日も。


アルは、よく水をこぼす。
理由は餌の時と同じなのだが、本当は少し違う。

実は、誰も居ない環境で“水をこぼす事”が唯一の『退屈しのぎ』だったのだ。喉の乾きを癒せば、あとは水遊びを始め、最後は引っくり返してしまう。

バケツ一杯水をあげても、すぐに引っくり返す。

荒療治なのは、餌の時と同じ。

夜に餌をあげ、夜中に水をこぼすと、真夏だろうと何だろうと、絶対に水をあげない。

水を制限するのは、体に的面に現れる。

ゲッソリと頬は痩け、あばら骨が浮いてくる…

アルは“退屈しのぎ”に、犬小屋もバラバラにしてしまったので、水を飲まず“炎天下の中”過ごす日々が続いた。


餌の時より早く、約2週間くらいで水を溢さなくなった。


そして一番の問題点
不必要に[鳴く・吠える]を矯正するのには、生死を賭けて行ったという。


矯正する鳥屋さんは実際には痛みを伴わないが、犬を愛する“人としての自分”を賭けて取り組んだのだ。

矯正が過ぎてアルが倒れても、可哀想だからと矯正を放棄したとしても、飼い主として失格=死だと。


とにかく哭いたら叱った。

叱っても吠えるので、叩いて教えた。

何度も何度も吠えるので、何度も何度も引っ叩いた。
何度も何度も叩いたので、鳥屋さんの手も腫れた。

それでもアルは、相手をしてくれるのが嬉しくて、何度も何度も吠えた。

そして自分をイジメ続けた【小学3,4生くらいのの男子】を見掛けると、怯えて吠える。

吠えるんで、また殴られる。

気が付くと、鳥屋さんの所に来て1年半が過ぎていた。

アルはまだ吠えていた。

僕と去年初めて会った、
その時も。


『普通の育ち方なら2,3ヶ月あれば更正するのに、コイツにはソレ相当のトラウマがあるんだよ。』


人間が造り上げた、
精神異常犬:アル


話を聞いてて、涙がでた。


つづく。



この記事へのコメント
まだ続くのですよね?

コメント不要とありましたが、

犬大好き人間の私としてはコメントせずにはいられなくて。


もうね、呼んでて怒りがこみ上げてきて、机を叩いちゃいました。

その後は涙でそうになって。

今は幸せに暮らしてるんですよね?
Posted by あるふぁー at 2007年11月15日 10:37
どもども。

コメントありがとうございます。

重い話なので、無理コメはいりませんよ。という意味なので、何かを感じたら、思いのままを書いて頂ければ幸いです。

なにせ、話中の飼育放棄家族は、リアル同世代。

他人ごとじゃなく、かつての友人がヤラカシテいるかもしれないんです。

少なくとも僕の周囲から、第2、第3の“アル(仮称)”を出しちゃいけないな。
と思ってます。
Posted by KSR@#44 at 2007年11月15日 17:33